どうも。
コマ撮り動画制作に苦戦している野川太郎です。
今日は映画【ザ・バットマン】について考察していきます。
とても重量感のあるバットマン
本作はとにかく陰険な雰囲気を醸し出している作品です。
バットマンはとても重量感があり、自由に空を飛ぶイメージが全くない陸戦型なヒーロー。
それにも増して、深みと重みを兼ね備えた登場音楽が雰囲気の陰湿さをより強く醸し出しています。
そして、宿敵のリドラー。
ジョーカーに匹敵する、人間の深淵を浮き彫りにしようとする犯罪スタイルは恐怖以外の何物でもありません。
本作は単純な勧善懲悪な物語ではありません。映画を観賞している人間に対し、深いテーマ性をストレートに投げかける映画となっております。
約3時間の映画にも関わらず、思いのほか疲れなかった本作。
エンターテイメント性よりもサスペンス性やテーマ性に重点を置かれており、視覚的な疲労がそれほどないのも本作の特長とも言えます。
本作は、凶悪な知能犯を追う刑事物+コスプレヒーローが混ざったような作品とも言えます。
子供よりも大人向けの本作。
次からは細かい解説をしていきます。
ド陰キャヒーロー バットマン
バットマンと言えば、資産家であり表は金持ち、裏は見返りのないヒーロー業を営む驚愕の正義マン
しかし、本作の主人公、ブルースウェインは完全引きこもりで陰険な表情やコミュ障前回の超根暗主人公。社交性ZEROの見た目からしてとてもヤバい奴!
そこが本作の魅力の一つ。
これほど幸せとは程遠いヒーローは中々いません。
俳優のロバート・パティンソンの演技力に磨きがかかっています。
ネットにいそうな正義マンが資産家で家族を殺されるとこんな感じになるのかなぁと勝手な妄想をしてしまういます。
戦い方も非常に泥臭い。人を殺さないのがバットマンの暗黙の了解であるため、基本的には相手が死なない程度の打撃攻撃のみ。何より、空を飛ぶことに抵抗があるというヘタレっぷり。
とにかく、敵を殴る。これが本作のバットマンであり、その拳は正義マンそのもの。正義を暴力で圧倒しようとする矛盾に満ちたバットマン。
この不幸丸出しで、暴力でのみ正義を実行できない不器用さが主人公の魅力を際立たせています。
悪役のリドラー
バットマンシリーズはとにかく悪役が非常に生々しいのが特徴。
悪役のリドラーは本作のゴッサムシティを根底から覆すような秘密を暴露する=殺人
この悪役はテーマ性を象徴した登場人物です。
彼は権力者たちの嘘を明るみにしていき、制裁を加えるといった、まさに現代を皮肉ったようなキャラクター。まさに、無敵の人というべきか。
彼は知能犯ゆえに中々捕まりません。警察やバットマンは彼に振り回されます。これは刑事物であり、サスペンス的展開方式。警官とコスプレヒーローが顔も分からない犯人を追っていく展開が面白く、同時にシュールな感じがしました。
しかし、映画では言及されていませんでしたが私の考察では、リドラーもまた正義マン。権力者たちに食いつぶされた存在。彼は権力者たちの腐敗・不正をえげつない方法で世間にさらす恐怖の正義マン
バットマンとリドラーの違いは一つだけ。人を殺していないかどうか。つまり、一線を越えたかどうか。
この点だけです。二人の違いは。その点に気づくと、本作の面白さが更に増します。
権力側にいるバットマンvs社会の底辺層の正義マン、リドラー
二つの正義がぶつかる本作は必見です。
本作のテーマ性とは
本作のテーマは【貧富の格差】【富裕層の腐敗】を題材に、生々しく描いています。前作のジョーカーと同様かそれ以上のテーマ性を含んだ本作。アカデミー賞を狙っているかのような作品作りは見事であり、ゴッサムシティの闇を徹底的に映し出していました。
本作の生々しさというのは、現実世界でも起こりそうな事件を描いていることです。
警察だけでは対応できない犯罪の取り締まりを、一人の陰キャコミュ障の金と筋肉だけはある正義マンが暴力で解決しようとする、まさにディストピアの世界。
けれど、上記に述べた通り 私は正義マンを裏のテーマとして題材していると考えています。
つまり、これはSNSではびこる正義マンたちへの警告。
本作の主人公は悪に対し、異常なまでの憎しみ(ヘイト)。彼は生い立ちから【復讐者】として正義を執行しています。対するリドラーもまた【復讐者】
どちらも深い憎しみで戦うという、重厚感全開の本作内容。
けれど、ここで一つの答えを見つけるのがバットマンです。
バットマンは最終決戦でリドラーの部隊と戦うことになります。そこで、敵もまた自身と同じ【復讐者】であることを知ってしまうのです。
ここでバットマンはようやく、復讐心・憎しみでは人を救えないことを理解しました。
彼は、正義マンから本当の意味で英雄(ヒーロー)になる瞬間でした。
ゴッサムシティが洪水になってしまったとき、彼は悪党ではなく一般市民を救おうとするのです。この姿はコスプレした変な人が救助活動をするシーンでもあり、同時に彼が本当の意味で【バットマン】になった瞬間でした。
このシーンは一度視聴することを勧めます。
本作の問題点
ここまで褒めちぎってきましたが、本作の悪いポイント等をまとめていきます。
ダークナイトシリーズと被っている
バットマンシリーズを確立させたのは、クリストファーノーラン監督作品のダークナイト三部作であると私は考察しました。
本作はシリアス展開に重点を置いていますが、それはダークナイトシリーズですでにしているのです。つまり、本作はダークナイトシリーズの焼き直し的な映画でもあります。
そのため、本作はダークナイトシリーズをベースに、大ヒットしたジョーカーの世界観を混ぜた映画。それゆえにオリジナリティに欠ける映画とも言えます。
リドラーの扱い方
リドラーの扱い方が少し甘いと私は思います。
サスペンス的演出をしているため、犯人は近くにいて予想外の人物でした、的な演出を私は期待していました。けれど、そのようなギミックの利いた演出はありませんでした。
また、リドラーを限りなく、ジョーカー的な演技をしており、狂った復讐者として演出したかったのでしょうが、もう少し個性または差別化してほしかった。リドラーは視聴者に共感してほしいのであれば、いちいち狂った笑い声で演出する必要はなかった。
ジョーカー的な演出が少し残念でならなかったです。
また、リドラーの部隊がやってくるのですが、どうやってこのような組織を作ったのか分かりませんでした。3時間も上映時間があるのに、その説明がなく、違和感がありました。
バットマンの演出について
実は一番私が不満だったことはバットマンの戦闘シーンです。
ダークナイトシリーズは深いテーマ性とエンターテイメント性に富んだ傑作でした。
けれど、本作はエンターテイメント性が欠落しています。それはそのシーンが不足しているからではありません。演出がワンパターンなのです。
カーチェイスシーンもカメラワークが下手すぎて見ていてあまり面白くないです。
唯一、バットスーツが対防弾使用で撃たれても大して怪我しない使用になっています。歴代トップクラスの防御能力でした。
それ以外はいつものバットマンであり、拳で敵を圧倒する演出はダークナイトと大差ありません。
ストーリー展開が遅い
テンポが悪いのが本作の欠点の一つ。
それゆえに、子供が見てもあまり楽しめないのが本音です。
大人が、大真面目に見る映画ゆえにストーリーのテンポがスローリーであることは仕方がありません。
そのため、今までのバットマンとは一味違うのが本作の長所でもあり、欠点でもあります。
総括
本作は3時間にも及ぶ大作であり、基本的には鬱映画に分類されるかもしれません。けれど、映像的には陰鬱な雰囲気ですが、そこまで暗くなる映画ではありません。
そのため、あまり疲れないのが本作。
知覚映像がしつこくないことや、テンポがゆっくりなので安心して視聴できます。
今日の考察は以上になります。
ぜひ、一度視聴してみてください!
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