夜のピクニック【映画】【映画批評 ブログ】【感想】【ネタバレ】

映画考察

どうも。

最近、仕事が忙しくブログをサボっていた野川太郎です。

今日は私が大学時代に映画・原作の両方を攻略した作品【夜のピクニック】について語っていきます。

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大まかなあらすじ

主人公の高校生二人がメインの物語
女子高生の甲田貴子と男子高校生の西脇融中心の物語。

舞台は一泊二日の歩行際で、高校生全員が約80kmを歩いていく物語。

主人公の二人はとある理由から互いを意識しており、同級生たちは彼らが両想いと勘違いし、くっつけようと奮闘することがメインストーリーとなっています。

二人の関係性の変化、周りの同級生たちのそれぞれの思いや葛藤を中心的に描いており、役者の演技力や魅力に頼っている傾向があります。

映画の予告編が非常に悪い!

映画の予告編に対する不満があります。
予告編内で二人の関係性をネタバレさせたことです。

本作は正直刺激の薄い、のんびりとした学園行事系映画です。

そのため、予告編のネタが不足する理由は分かりますが、いきなり確信的なネタバレをしてはいけませんよ。

まあ、私のブログでも思いっきりネタバレしますが(笑)

では、ここからネタバレありの考察を開始します。

学園物の王道ストーリーではない!

本作は主人公2人の関係性を中心に話が進んでいきます。

通常の学園物なら、目に見えるような目標に向かって主人公たちが奮闘するケースがほとんど。

けれど、本作はそんな学園物の王道ストーリーから完全に反れる物語。
※つまり、競争意識がまったくないということ

つまり、盛り上がりに欠けてしまうことが欠点の一つです。

全学年で歩きながら、主人公の二人は別々のグループで別れながら恋愛トークに花を咲かせます。
しかし、本作は恋愛をテーマにはしていません

主人公が憧れのヒロインと一緒に歩く・・・的な展開はないです。

本作は、異母兄弟である主人公二人が分かり合うまでを描いた、シリアスストーリー

ゆえに、本作はいっけんすると万人向けではないように思えます
もちろん、歩行祭を通して、各キャラクターたちの悩みや葛藤を描いてますが、学園王道ストーリーではないため、学園物に夢を抱いている人には本作をお勧めできません

本作は、まさに原作である小説をベースに制作されており、テンポが明らかに映画より小説向けのシナリオとなっています。

本作は学園のリアルやノスタルジック系が好きな人におすすめの映画となっています。
ゆえに配役等もアイドルチックさがなく、逆にそこが好印象な所だと私は思います。

撮影センスがずば抜けている点

本作は小説の雰囲気を存分に堪能するよう制作されています。

私が最初に衝撃を受けたのは、主人公の貴子とその親友が学校へ登校するまでのカットです。

一発取りのカットで、そのシーンでは大勢の生徒たちが動くカメラに合わせて映し出され、学校行事が今から始まるというワクワク感を最大限に引き出している素晴らしいシーンであると思います。

全生徒たちをワンカットで映し出すことにより、視聴者もその行事に参加させられている感覚に見舞われる撮影方法には脱帽しかありません!

また、本作は多くの登場人物と間延びしないように小ネタのようなシーンが事細かく描かれている点も優れていると思います。

歩行祭でなおかつ勝負事ではないため、どうしても映像が怠くなってしまう所をうまくカバーしようとしている点もまた評価に値します。

悪い点

本作で一番悪い点は実をいえば、上記に上げた多くの登場人物と小ネタです。

長所であり、同時に短所でもあります。

多くの個性ある登場人物を描いたために、消化不足になってしまいました。
話が間延びしないよう、シーンが退屈しないように用意したキャラクター(主にわき役)の伏線回収がまったくされなかったことです。

謎の男子3人組は序盤に登場し、何かしてくれるのかと期待させる描き方をしていましたが、後半になったとたんに一切登場しない。

多くのキャラクターを登場させ、ワクワク感を出させておきながら何もないという展開はBAD!

また、所々ギャク展開を入れてきますが、基本的に滑っており、ノスタルジックな世界観を壊していました。

ただ、このような演出をしなければ、映像的には退屈になってしまう事情があります。
主人公二人を中心に描くだけでは内容が薄く、テンポの悪い映画になってしまう。

仕方がないと言えばそれまでですが、ここら辺が本作の限界であると私は思います。

作り物という感覚がまったくない演出は評価に値する!

本作は若者たちのリアルさを追求した作品です。

つまり、本作を視聴するメリットは【学生時代の気持ちに戻れる】ことです。

大半の学園映画は夢を見せる物が多いですが、本作は学園を見せることに特化しています。

学生生活に夢と希望を見せるゆえに作り物感全開の他作品に対し、本作は学生時代の気持ちに戻れる構成。

ワンパターンな展開を望むか、リアル感を望むかで大きく評価が分かれる本作。

ゆえに、派手さやベタな演出がないため、退屈してしまう視聴者が多いことはやむを得ませんが、私のようにリアル感を追及するタイプや感傷に浸りたい人には必見の本作です。

おまじないと幽霊のネタバレ

盛り上げり要素にかける本作ですが、しっかりと伏線が容易されていました。

一つは主人公貴子の親友で留学した女子生徒による「おまじない」です。
これは後半になり、伏線回収されます。

もう一つは去年の歩行祭から謎とされてきた幽霊少年が登場します。

都市伝説的なネタで盛り上がるには少し弱い演出ですが、歩行祭というある意味地味な作風には必須のホラー要素。

学生はそういったものに盛り上がりを感じてしまいます。

そして、今年の歩行祭でその謎が分かり、正体は留学した親友の弟と言う展開。

歩行祭に興味があり、無断で参加したことが明らかになります。
この展開は決して強い落ちではありませんが、比較的おとなしい本作にはピッタリの演出だと思います。

そして、その少年がきっかけで主人公二人の関係が明らかになってしまうシーンは何とも言えません。

空気の読めない弟さんに対し、主人公たちの気まずさが演技の中にしっかり入っており、個人的にはお気に入りのシーンです。
※ただ、この弟のキャラに対し、うざったさやわざとらしさがあることも否定しません。

しかし、この弟を仕向けたのは他でもない留学した親友であり、彼女がしかけた一種のトラップ。
これがおまじないの正体=弟だったことが判明します。

結局、主人公二人は互いに分かり合いたがっていたにもかかわらず、プライドが邪魔して行動に移せない。学生とはそんなものです。

他人の助けを必要とする展開ですが、私はそこにリアルさを感じました。

総括

本作は若者向けというより大人向けで、静かな映画を好む人向けの作品です。

もし、本作にハマれば、また何度でも見たくなる一種の中毒性を持つ作品です。

是非一度、本作の視聴を強くお勧めします。
出演者の関係で地上波では放送できませんが、現在芸能界で活躍している俳優たちの若い頃を見ることができます。

それでは今日は失礼!

ご視聴ありがとうございました。

※ちなみに下の作品は番外編の映像です。

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