閃光のハサウェイ 【ネタバレ】【感想】【考察】

映画批評

どうも。

 今日は朝起きるのが遅く、BSで放送していた中国の太極拳特集を惰性で見ていた野川太郎です。

 今日は、私が大好きなガンダムシリーズであり、宇宙世紀の作品、そして監督の小説を映画化した作品、閃光のハサウェイについて語ってみたいと思います。

 先に主観的な感想を言ってしまえば、この映画もとても面白かったです。最近見に行った映画は基本的にどれも当たりだったので本当にうれしいです。

 ですが、不安点もあり、ここからはネタバレになるので、気をつけてください

⓪モビルスーツって何?

 もし、ガンダム初見の方がいればこの内容を読んでください。モビルスーツとは人間同士の戦争ために作られた人型の二足歩行ロボットのことで、完全に戦争の兵器であることを頭に入れておいてください。勧善懲悪の正義のロボット物語ではありませんのでご注意ください。

①宇宙世紀を世界観を理解していないとこの映画は難しいかも

 私はガンダム好きなので問題ないのですが、宇宙世紀のガンダムシリーズ初見の方には何をやっているのか理解に苦しむ可能性があります。

 私なりに説明します。

 人口が増えて、棄民政策として宇宙コロニーと呼ばれる宇宙ステーションを拡張した住居スペースを用意して、人口の大半をそこに移住させた(棄民政策)話です。

 つまり、地球に暮らせる人は特権階級の人々で宇宙にクラス人々はそうでない人々ということです。

 問題は宇宙にクラス人々には選挙権、自治権がないことなんです。つまり、地球の特権階級の人々は彼らを宇宙に捨てておいて、政治的決定権は地球側にある。

 これがのちのジオン公国を生み出し、アムロレイとシャアとの闘いに発展するのがファーストガンダムです。

 その後の戦争もすべて、地球側による棄民たちに対して自治権を認めないところから来ています。

 前作の逆襲のシャアでは、シャアが地球に巨大な隕石を落下させ、地球を人の住めない世界にするという極論を提唱しました。つまり、地球が住めなくなれば特権階級の人々は宇宙に上がらざるを得ない。そうすれば、地球と宇宙の垣根がなくなるという極論です。

 今作は、全人類を宇宙にあげるという思想を提唱したマフティー(ハサウェイ)。けれど、その方法論が地球を破壊することでなく、特権階級を持った政治家たちを一掃すること。これが彼のやり方です。

 ※ちなみに、私は小説は未読なので映画を見た限りでの情報です。

 ※後、宇宙世紀は未来設定ですので、私たちの未来を描いたSF映画的側面を持ちます。

②魅力あふれるキャラクターを描くことに成功

 今作の魅力の一つはキャラクターにあると思います。

 まず、主人公のハサウェイ・ノア(マフティー)。テロリストのリーダーにしてあのブライト艦長の息子です。

 偉大な父親を持つ彼の苦悩、過去に犯した過ちに対する苦悩、テロリストのリーダーとして行動する苦悩。そして、彼の行動に影響を及ぼすであろうヒロイン、ギギ・アンダルシアに対する苦悩。

 彼の人生は常に苦悩が続く。逆襲のシャアから本格的に登場していましたが、今作では立派な大人の姿、そして、数々の苦悩に悩まされながらテロリストそして、ガンダムのパイロットとして振る舞う彼の姿にとても興味が湧きました。

 まさに、人間臭さの体現です。最近のアニメは容姿端麗系の主人公が多い中、彼は人間臭さといった従来のアニメの良さを引き出しています。アムロレイとはまた違った魅力のあるキャラクターに仕上がったと思います。

 ヒロインのギギ・アンダルシアに対しても私は高評価です。言葉の一つ一つに重みや深みを感じさせ、10代の設定ですが、とても大人びている一方で、幼稚な一面を見せる。そして、何よりニュータイプをにおわせるような感の良さを描いている。

 彼女の役割は主人公の味方をすることではなく、味方のように装って彼を翻弄する役回りだと私は思っています。主人公の初恋の相手を嫌でも思い出させるようなある種危険なキャラクターに仕上がっており、高評価のポイントです。

 ケネス・スレッグというキャラクターもまた作品の面白さに欠かせない存在です。地球連邦軍(特権階級の味方)に所属し、テロリストであるマフティーを討伐することが彼の役割です。非常に優秀ですが、女性を平然と口説いたりするあたりが普通の男。序盤のシーンでヒロインから普通の烙印を押されるシーンが面白い。しかも、敵対する主人公と最初は協力して助け合い、交流を深めてしまう演出は実に面白かった。けれど、人を見抜く才能はあり、後に主人公がテロリストのリーダーであることを見抜いたり、自身の部隊にいるエースパイロットの本質を見抜いているシーンがとても説得力がある。

 真面目で不器用な主人公。妖艶で男たちを惑わす系のヒロイン。そして、典型的すぎる優秀な軍人。この3人の絶妙なバランスがこの作品の魅力を引き出していると考えます。

②モビルスーツでの戦闘シーンの作画がハイクオリティすぎる

 ガンダムの作品の魅力には当然、戦闘シーンは外せません。今作では、その作画が本当にキレイでかつリアルに描くことに成功しました。

 映画館に来るだけの価値がこの戦闘シーンには十分あると私は考えます。

 モビルスーツ同士の最初の戦闘シーンでは特に町の被害を鮮明に描いていることが評価ポイントに挙げられます。

 町の被害を手加減なしに描く。アニメーターたちのプロ意識を感じずにはいられませんでした。

 後半の戦闘では、ガンダム同士が戦うのですが、ここにちょっとした不満があります。

 作画は完璧です。演出も完璧でした。ただ、2機のガンダムがあまりに似ているのでどっちがどっちだになってしまいました。ここはしょうがないかなと思います。

※この2機のすごいところは単独での自由飛行ができることです。モビルスーツは基本的に空を飛ぶことができません。噴射口で点火してジャンプすることはできますが、燃費が悪く、エンジンが焼ける可能性もあります。

 とはいえ、今までのガンダム映画作品の中で一番の作画力を感じました。戦闘シーン自体は少ないのですが、デカいスクリーンでの鑑賞は必須だと考えます。

今回の考察はこんな感じです。ガンダム作品を知らない人は最低限の予備知識だけ入れて鑑賞することを勧めますし、宇宙世紀のガンダム好きは絶対に見に行くべきだと私は思います。


今日は以上です。ご視聴ありがとうございます。

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