どうも。
11月でストーブが手放せない季節におびえている野川太郎です。
この寒さを感じると、オーストラリアのゴールドコーストの温かさを思い出してしまいます。
今日は、ワーホリから日本帰国後に見た映画の一つ、殺さない彼と死なない彼女についての考察をします。
この映画を一言でまとめると
3つの異なる視点から各キャラクターの人間模様を描いたラブストーリー系のお涙頂戴映画
予告編でのキャッチフレーズは、ニュータイプラブストーリーと謳っていました。
確かに、主人公の二人は今までにないキャラクターではあり、交流の仕方も独特で個性的でもあります。
ですが、この映画をもう一言で片づけるなら、こうです。
君の膵臓を食べたいには遠く及ばない駄作
言い変えるなら、傑作になり損ねた駄作、もしくはニュータイプな駄作映画と捉えるべきでしょう。
これが私の考察であり、結論です。
では、私がそう結論づけた理由を述べていきます。
まず、評価ポイントから
酷評する前にまずは、評価する点を述べていきます。
この映画の魅力は登場人物たちのキャラクターが一人ひとり際立っていることです。
3組からなる物語のため、計6人の主人公たちがいます。
まずは、ヤンキー系で留年している主人公とリストカットを日常にしてしまうヤンデレ系ヒロイン
この組み合わせはまったく新しく、かなり新鮮でした。
いつも死にたがっているヒロインを主人公が助けながら、親交を深めていくストーリーは興味を惹かれるものであり、評価に値すると考えています。
他にも、男好きの女子高生と地味系の親友の組み合わせの物語。
一人の男子を思い続ける女子とその思いを常に拒み続ける男子の組み合わせ。
彼らは本来、主人公的ポジションを得ることが無いタイプのキャラクターたちです。
ですが、脇キャラ的要素を持つ彼らをあえて主役にもってきて、ストーリーにしたこと自体は評価します。
キャラクターたちから現実感があることもすばらしい。
学校に一人は必ずいそうなキャラクターたち。
一人ひとり個性を感じ、印象に残るキャラクターを作ることができた点もまた評価に値します。
このキャラクターたちなら傑作を作れるだけの下地はできていたはずです。
ですが、評価できる点はここまでです。
ここからは酷評タイムに入ります。
覚悟してください。
3組の登場人物たちの物語にした、メリットがまるでない
この映画は3組のキャラクターたちがそれぞれ学校生活に苦悩しながら前に進んでいく物語。
ですが、3組のキャラクターが交わることがほとんどないことが欠点の一つ。
同じ学校で、学年やクラスが違う物語のため、3組の関係性がまったくなく、視聴者を驚かせる展開もありません。
普通、異なる視点で描くとき、一組のペアの行動が他のペアに影響を与えることが面白さの秘訣です。
ですが、この作品はほぼなし。
まったく独立した物語のため、盛りあがることはありません。
クロスオーバー的な演出がまるでないため、とても退屈で意味をなさない演出になってしまいました。
なぜ、3組の異なる物語を入れたのでしょうか?
これは私の予想であり、根拠はありませんが私なりの結論として、
話のネタが不足していたからだと推測できます。
実を言えば、この映画はワンシーンがとても長い映画です。
言い換えるなら、テンポとてつもなく悪い映画。
そして、テンポが悪い映画は、映画内で描くことがあまりない、中身(ネタ)が乏しいことを示しています。
この映画もまた例に漏れることがありません。
つまり、ネタが圧倒的足りないため、3組のキャラクターを用意し、ネタ不足をそれぞれの物語で解消したかったと私は考察しています。
キャラクターの完成度とは反比例してストーリーが乏しすぎる映画となってしまいました。
ストーリーの薄さがあまりに酷い
3組の登場人物たちの物語の中で最も核となる、ヤンキー主人公とヤンデレヒロインのストーリーを考察します。
学校生活でどこか浮いているヤンキー系の主人公は人間嫌いで動植物を愛するリストカットヒロインと出会います。(この始まり方はすばらしい)
そして、どちらも学校に馴染めないことから交流が始まります。
ヤンキー系主人公は口が悪く「殺す」が口癖
ヤンデレヒロインは「死んでやる」が口癖
このどちらも【死】を連想させる二人が絶妙に良いのです。
ここまでなら傑作になる可能性があったと私も思います。
けれど、その後の展開があまりの中身がなく、下手くその一言。(ネタばれ発動します)
二人の距離が縮まり、次第に互いに惹かれあっていく二人。
けれど、突然ヤンキー系の主人公がサイコパス系の登場人物に「恋をしていますね?」と言われ、殺される。
そして、お涙頂戴演出の発動。以上です。
これがこの二人のストーリーです。
ヤンキー系主人公が唐突に殺される演出がまあ酷い。
伏線がなく、唐突感がありすぎる。
サイコパス系の殺人者の背景描写も描かれない。
楽しい日常が突然失ってしまう驚きはありましたが、それにしても演出がひどすぎる。
また、主人公とヒロインが親交を深める描写もテンポが悪く、中身のないストーリーを必死に引き延ばすような間延びした作品と化しています。
しかも、残りの二組のストーリーが途中で入るため、この二人の物語が更に薄くなってしまった。
なぜ、こんなストーリーにしたのか理解できません。
新しいタイプの駄作映画がここに誕生してしまいました。
テーマ性が不足(誰得?)
この映画は一体何を描きたかったのか? 私には理解できませんでした。
残りの二組のストーリーもそれぞれ個性的ではありますが、ここで語るほどではないので割愛します。
ヤンデレヒロインはヤンキー主人公を失いながらも前に進もうとするのですが、そこも説得力に欠けます。
なぜなら、ヤンデレなのですから、リストカットに走ったりと迷走行動するのが自然な所。
ですが、死んだヤンキー系主人公の幽霊っぽいのが現れて、ヒロインを慰める謎演出。
そして、そこからヒロインはヤンデレを卒業するような感じです。
はぁ?
この一言です。
このヤンデレヒロインはヤンキー系主人公にある種の依存をしているように私には思えました。
そこから立ち直るための演出としてはかなり陳腐。
この映画から学べることがまるでないのです。
エンディング曲に負ける映画
エンディング曲がとてもノスタルジックで感慨深いものが流れました。
逆に言えば、エンディング曲に追いつくだけのストーリーがこの作品にはありません。
雰囲気だけは曲と一致していることが唯一の救いではありますが。
もし、私が映画監督なら(妄想シリーズ)
この映画はキャラクターの素材はとても素晴らしいと評価しています。
ですので、まずはヤンキー系の主人公とヤンデレヒロイン中心の物語を作り、3組の独立した物語構成は絶対にしません。
素材を薄めてしまうからです。
二人のほのぼのとした物語の中に、残りのキャラクターたちをうまく浸透させていきます。
この物語は完全に上記の二人の物語にし、同時に二人が周りの人間たちを通して成長していく展開へと持っていきます。
サイコパス系の殺人犯も学校内に登場させ、恋愛コンプレックスをこじらせ、殺人に走らせる等の動機付けさせる物語を追加する。
それだけの時間は十分にあります。
キャラクターの関連性を保ちつつ、悲劇へと持って行ってもいいと私は思います。
ですが、ヒロインがこの後どのように立ち直っていくのかを幽霊なんかに頼らずに別の視点で描けるといいと考えます。
総括
かなり、酷評になりました。
ですが、百聞は一見に如かず。
この考察は私の主観でありますので皆さんの目で一度この映画を視聴することをおススメします。
今日は以上です。ご視聴ありがとうございました。
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