どうも。
最近天気が悪く、受験シーズンもあってそれなりに忙しくなってきた野川太郎です。
今日は、オーストラリア帰国後に鑑賞した大作【天気の子】について考察していきます。
大まかなあらすじ
天候の悪化が懸念される現代。
とある島から東京にやってきた主人公の少年。
慣れない都会の中で偶然、一人の少女・ヒロインと出会い、同時に拳銃を手に入れてしまう。
生きるために、小さな編集プロダクションで住み込みでの生活を余儀なくされた主人公。
悪戦苦闘しながらも、次第に都会の生活になれていき、同時にヒロインとの距離が縮まっていく。
ヒロインとその弟と親しくなり、ヒロインの【天候を晴れにする】特殊能力を使って商売を始める。
けれど、ヒロインは次第に体調を崩していき、後に彼女の正体が判明する・・・・
その時、主人公は何を決断するのだろうか?
とまあ、簡単にまとめるとこんな感じです。
今回は【君の名は】とは違い、完全に東京がメインの物語になっています。
では、ここから映画考察を開始します。
圧倒的映像美は映画館での鑑賞を強くおススメ!
【君の名は】でもそうでしたが、映像美が圧倒的です。
東京のキラキラしたところから、暗いジメジメしたところまでをリアルに描いています。
まるで、写真を見ているかのような、圧倒的な作画力を体験することができました。
「あ、こういう感じ、東京って」と言いたくなる、言わせたくなるような事細かな描写にとことん力の入った映画となっています。
映画というより、美術映画と言った方がいいのかもしれません。
映像美やリアル描写を考慮すれば、君の名はを圧倒する作品だと考えていいでしょう。
なぜ、賛否両論となったのか? なぜ、君の名はに負けたのか?
本作は【君の名は】とどうしても比べられる運命にありました。
そのため、評価のハードルも必然的に高くなり、同時に視聴者からの期待度も高まってしまいます。
つまり、通常の作品よりも厳しく見られがちということ。
そのため、前作と比べるような視聴はしてはいけません。
ただ、長年映画を見てきた男としての考察では、前作が偉大だと次作は大体失敗するが通例です。
問題は、【君の名は】と比べなかった場合、映画としてどれだけ評価されるかが重要であるか。
私は視聴する前に、一度前作を忘れて本作を映画館で視聴しました。
そして、一つの結論に達しました。
一つの映画として、私の評価はかなり低いです。
その理由を下記の通りに示します。ネタバレ全開!
①日常系の作品となってしまったこと
前作はSFファンタジーと学園要素を取り込んだ典型的な王道作品だったこともあり、盛り上がる要素が満載でした。
本作は島からやってきた少年が東京という残酷な街で必死に生きる物語が大半を占めています。
そう、ここが問題なのです。
後半からようやくSF的な要素で盛り上がる展開がありましたが、映画の大半は主人公の少年が東京で必死に生きるだけの日常系のシーンばかり。
エンターテイメント性を薄くし、ヒューマンドラマの要素を濃くした映画になりました。
けれど、お涙頂戴系でもなければ、学園物でもない。SFファンタジー要素はかなり薄い。
当然テンポは悪く、盛り上がりに欠ける映画になってしまったことが失敗の原因に上げられます。
②主人公と拳銃
主人公は偶然拳銃を手に入れます。それで身を守ることはできましたが、後々になって厄介ごとの火種になってしまったのがその拳銃です。
問題は主人公が拳銃をなぜすぐに捨てなかったのか?
主人公はヒロインを救おうと東京の街を駆け回りますが、拳銃所持が原因で警察から追われる身となってしまいます。
当然です。そのシーンをあたかも理不尽と戦っている今の俺、的なシーンに制作陣たちが仕上げてしまったことはかなりの失敗だったと思います。
また、この拳銃に何か深い意味を見出す要素があれば良かったのですが、特にないです。
この拳銃は単純に盛り上げ道具の一つにすぎず、むしろ滑っている印象を受けました。
③悪役不在の映画
本作には悪人は登場しても、悪役はいません。
主人公はヒロインを救おうとするシーンで、警察に追われます。
一見すると、警官たちが悪役のように描いていますが、彼らはただ銃刀法違反の主人公を追っているだけなのです。
本作はラスボス・敵といったキャラクターは登場しません。
しいて、悪役的なものがあるなら、それは地球のシステムそのものです。
地球が悪役と言う意味は後に説明しますが、本作はエンターテイメント性が不足したSFファンタジー風の日常系映画と言わざるを得ません。
④天気の子というタイトルの意味と結末について
本作では、ヒロインは実は地球の巫女であり、天候を回復するための生け贄として存在していると判明します。
今の日本では、晴れる日が減っており、環境はかなり悪化しています。
つまり、ヒロインが天気の生け贄になることで天候は回復するという地球のシステムとなっています。
※彼女が天気の子だった
ヒロインは自ら犠牲の道を選び、天候を回復させるかどうか?
物語の後半はその話になります。
そして、ヒロインは自ら犠牲になりますが主人公が彼女を救出するという結末を迎えます。
この映画のゴールはヒロインを救って、天候を犠牲のするという道を選んだということです。
それが賛否両論を生んだ原因だと私は結論をだしました。
晴れの日が無くなり、毎日雨の天候が続いていくという終わり方は正直バットエンドです。
毎日雨が続けば、日光が出ない日が続き、人や環境にダメージを受けることは必至。
けれど、本作はそういった描写は描いておらず、主人公の選択をハッピーエンド風に描いているあたりがとても寒い。
この映画の結末をまとめると、
「ヒロイン救ったけど天候なんてどうだっていいや!」
ということです。
これは賛否を生むに決まっています。
あまりに無責任な結末であり、それを美化するような作画で描かれている。
それゆえに、汚い物にはふたを蓋をしろ、映画となってます。
考えさせられる終わり方にすればよかったのですが、中途半端にエンターテイメント性を残そうとした結果、深い終わり方にできなかったのだと思います。
⑤主人公の行動にどれだけ共感できるかが本作のポイント
本作はすべて主人公の行動に視点が置かれています。
そのため、主人公の行動で作品の評価が左右されると言っても過言ではありません。
東京という慣れない場所で必死に生きようとする姿自体は共感が持てます。
けれど、それ以外の行動に関してはまったく共感できない。
ヒロインを救おうとする描写に関して、この主人公は逞しさとは裏腹に感情で行動するタイプのため、目先の行動が鼻につきます。
今、ヒロインを救おうとしている俺かっこよくねぇ 的な印象が強いのが個人的な感想です。
周りのことなど一切気にしていない。天候悪化と向き合おうという姿勢もない。
ヒロインを助けた英雄、的な描き方はかなり気分が悪いです。
このあたりが、君の名はに敗北した所であると考察しました。
前作は、入れ替わりをうまく利用して多くの人を救おうとする主人公たちに共感できる作品でした。
けれど、本作は悪役不在で天候の命運を頭の悪い少年に委ねるような脚本になってしまったことが本当に残念です。
⑥結末に対する不満
本作はエンターテイメント性が乏しいわりに、その要素を残しています。
ですが、ヒューマンドラマとしては弱い日常系要素も含む本作。
私は疑問に思います。
どうして、ヒロインの地球の天候もどちらも救おうとするストーリーにしなかったのか?と
ヒロイン救って天候犠牲にしたけど、まぁいいじゃん的な結末はかなり寒い。
主人公頑張った感の映画に未来はないです。
主人公がヒロインや仲間たちと協力してこの悪天候を根本的に変えて世界を救おう的なストーリーにした方がよっぽど面白かったと思います。
前作と同じパターンをしたくない気持ちは分かります。
けれど、本作のストーリーの私個人の評価は限りなく0点です。
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総括
本作はストーリーがとにかく弱い。
けれど、その薄いストーリーを覆い隠すだけの圧倒的な作画力は評価に値します。
ストーリー重視の映画ファンには本作は全く向きません。
けれど、世界観を楽しむタイプの方にはかなりおススメの作品です。
私も、プロットの甘さを差し引いても本作を十分に楽しむことができました。
私のように無駄に細かいことを考えず、映画と割り切って楽しむことができるなら、その方は本作を楽しむことができるでしょう。
今日は以上です。
ご視聴ありがとうございました。
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