どうも。
1日にスパイダーマンノーウェイホームとマトリックスレザレクションズの両方を映画鑑賞した野川太郎です。
今日はアベンジャーズ版スパイダーマン・ノーウェイホームについて映画考察します。
最高傑作で欠点の無い映画!
本作はスパイダーマンシリーズのファンは絶対に映画館に足を運ばなければなりません。
控えめに言って完成度が高く、批判するべき点がほとんどないからです。
そして、本作は作品の質はもちろん、ファンサービス映画としても突出している内容となっておりいます。
では、本作の内容とネタバレ、それに伴う私の考察を上げていきます。
評価ポイント
序盤のリアリティーのあるヒーロー描写
前作で自身の正体がばれてしまったスパイダーマンことピーターパーカー。
SNSが普及しているこのご時世ならではの大パニックぶりがとてもリアルで同時に恐怖を覚えました。
実際にヒーローがいたらアメリカはこんな感じでパニックになってしまう未来予想図を見せられているようでした。
主人公はヒロインと一緒に空高く飛び緊急避難をします。
このシーンはシリアスとロマンを兼ね備えた素晴らしい描写であると思います。
周りから注目され、しかも彼女持ち。超人的なパワーを全世界に見せてしまっている状況。
中二病の私が泣いて喜んでしまうシーンです(痛い発言)
しかし、現実はそれほど甘くはありません。
主人公は前作での事件について殺人容疑がかけられており、また世界中で顔を知られてしまったことから逃げ場が全くないという状況。
このリアルが心に突き刺さります。
正体がばれたアベンジャーズとしてトニースタークがいますが、彼はかなりの資本家であり、自身を守る術がいくつもありました。
けれど、主人公はただの高校生。上級国民ではない。ゆえに誰も守ってくれないのが現状。
しかも、前作で無償で働かせた元凶たち(ヒューリーたち)は何のしない。
アメリカ資本主義の理不尽さを感じざるを得ませんでした。
そんな、リアルで理不尽極まりないスタートで本作は始まりました。
ヒーローであるリスクを知る
主人公ばかりに被害が被るわけではありません。
主人公のヒロインや親友たちも容疑をかけられ、しかもそれが進路先にも影響を及ぼす始末。
今まで、世界を救ってきた彼らに対して、大人は常にリスクヘッジのことしか考えていない皮肉な描写が心を締め付けます。
ヒーローに対するあこがれが強い反面、同時に恐れを抱いているアメリカ社会。
それが色濃く描かれています。
主人公の未熟さを甘え
現実世界でプライベートを無くした主人公。
彼はこの現状に納得がいくはずがありません。
それは彼が子供だからです。
大人であれば、この状況を甘んじて受け入れるか、打開策を打ち出すはずです。
けれど、彼はまだ高校生。頭脳明晰ではありますが、子供ゆえの甘えが出てしまいます。
それを象徴しているのが、【ドクターストレンジ】です。
彼はこの事態に対し、ドクターストレンジの超能力に頼ろうとするのです。
自身がスパイダーマンであるという記憶を全世界の人々から消し去るという反則行為です。
その結果、ドジっ子ストレンジ(笑)のせいで、失敗しマルチバースを引き起こしてしまうのです。
このシーンは現実的な対処ではなく、子供じみた方法で対処した結果です。
主人公がいかに未熟であり、同時に人間味のあるキャラクターであるか認識させられました。
マルチバース(究極のファンサービス)が発生
歴代のスパイダーマンシリーズの悪役たちがオリジナルキャストで再登場します。
しかも、世界線の異なるスパイダーマンシリーズからのキャストたちです。
※どれだけの出演料が発生したのだろうか?
詳細を控えますが、歴代の悪役たちが世界線を飛び越えてやってくるという胸熱展開にファンたちはテンションが上がったでしょう(私もそうです)
もちろん、スパイダーマンシリーズを知らなくても十分に楽しめる悪役たちのため、初心者にもやさしいですし、彼らとの戦闘シーンはいつ見ても面白い。
スパイダーマンは基本的に戦闘シーン(特に戦闘スタイル)がいつ見ても飽きない。
ジェットコースターのようなスピード感の映像を堪能するしかありません。
主人公の甘さによる悲劇
彼らを確保することに成功した主人公。
けれど、ここでドジっ子ストレンジと対立してしまいます。
彼らを元の世界へ送り返すという大人の意見。そして、彼らを元の善人にしてから送り返そうと理想を掲げる子供の意見を提唱する主人公。
まだ、子供の論理を貫こうとする主人公に軍配が上がり、悪役たちを改心させようとしますが、予想通りうまくいかず、主人公は大切な人を失うことになるのです。
現実的な意見を言うストレンジと理想的な意見を言うスパイダーマンの構図が一種のシビルウォーであり、緊張感もあり全く飽きませんでした。
マルチバースをただのファンサービスにしていない所
そして、主人公は本当のどん底を見ることになります。
けれど、彼を救えるのは何も友人たちだけではありません。
そう、歴代のスパイダーマンがオリジナルキャストで登場するのですから、またしても胸熱展開。
初代スパイダーマン役を演じたトビーマグワイアと2代目を演じたアンドリューガーフィールドが登場するのです。
※ちなみにアンドリューは本作に出演しないと嘘をつき、ネタバレを最後までしなかった俳優さんです。一方の本作の主人公であるトムホランドはネタバレ王子で有名なのが本当に面白い。
しかし、彼らがただ登場して、悪役たちを倒すだけのストーリーではありません。
彼ら二人は主人公に大切なことを教えます。
【大いなる力には大いなる責任が伴う】
これは永遠の名言となるでしょう。
本作の主人公は今までその責任を理解していなかったのです。
大切な人が無くなったことで初めてこの言葉の意味を理解し、そして歴代のスパイダーマンたちと精神的に肩を並べることができたのです。
これは私の解釈ですが、このシーンはアイアンマン・トニースタークからの卒業を意味していると考えています。
今まで、トニースタークに頼り、依存していた彼はようやく一人立ちすることができたからです。
誰もが共感でき、歴代スパイダーマン大集合となったこのシーンを映画館で見れて私は幸せでした。
マルチバースを解決し、その代償を自ら受け、大人に成長した主人公
本作での共感ポイントは、主人公が失敗した悪役たちの更生を最後まで完遂させようとしたことです。
普通なら、諦めて敵を倒し、命を殺める展開になるでしょう。
けれど、頭脳明晰なスパイダーマンが3人もいれば何でもできる。
主人公の失敗を完遂させようとした展開は実にうまいと私は思いました。
これは子供の論理ではありません。
一度したことは最後までしなければならないという大人の論理です。
主人公が大人に成長した証拠です。
歴代主人公たちの補完をしてしまう所が実に憎い
彼らの計画は成功し、悪役たちは善人に戻ります。
実は歴代作品で悪役の展開が中途半端になっていたことがあり(サンドマン)、本作で見事に補完でき、実にうまい演出でした。
マルチバースという演出を使って、過去作の不完全な内容を修正し、その後どのような展開になるのだろうかと妄想させる演出には本当に脱帽しかありません。
子供から大人に成長することが本作のテーマ
マルチバースが暴走した結果、主人公は最後の選択に迫られます。
それは他者が自分の存在を忘れてしまうという、最初に主人公が望んだ選択でした。
主人公は自分のためではなく、他者のためにその選択を躊躇なく選び、彼は完全に孤立してしまいます。※ノーウェイホームというサブタイトルを回収
彼にはもう家族も親友も恋人もいません。ただのピーター。
とても残酷な選択であり、演出でした。けれど、これが大人の選択。
大いなる責任を彼が果たした瞬間でもありました。
総括
本作は共感する部分が多く、お祭り的な要素もありながら、一人の少年が喪失を通して大人に成長する作品でした。
ただの一般大衆向け映画にしてはレベルが高すぎる映画です。
ぜひ一度視聴することを強く勧めます。
ご視聴ありがとうございましいた。
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