ジョーカー 【ネタバレ】【感想】【考察】

映画批評

どうも。

 未だにグーグルアドセンスの申請が通らず、広告が貼れない男、野川太郎です。
※ワードプレスに移行した後申請が通りました。

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 今日は、バットマンの宿敵であるジョーカーの誕生を描いた作品、ジョーカーを主観的に語っていきます。

 実はこの映画はオーストラリアのワーホリ生活中にゴールドコーストの映画館で見た映画でした。しかも、昼間に見てしまいました。

まずは、結論から言います。

 誰も救われない究極の鬱映画です。
 主人公アーサーはジョーカーになるしかなかった。それだけの理由を十分に描いた心を打たれる傑作映画であることは間違いないでしょう。

 けれど、注意が必要です。かなりの鬱映画でありますので、明るい時間帯に見ることをおススメしません。夜に見ることを勧めます。良い意味でトラウマになると思います。

ここからは考察です。ネタバレ注意です。

①出だしからアーサーの不幸が連発

 序盤から、アーサーは不幸に襲われます。不良少年たちからショーの看板を奪われ、ひどい目に遭います。そのシーンがとてもリアルで、アーサーのピエロの姿がとてもみすぼらしく、貧しい生活を送っていることがすぐにわかるようになっています。だからこそ、看板一つ奪われるだけで生活に支障をきたすことが伺えるシーンです。だからこそ、序盤のシーンからアーサーの不幸が強く印象づけられ、衝撃のスタートでした。

 彼の仕事は自称コメディアン。けれど、売れない芸人であり、毎日精一杯笑いを届けようとする姿は応援したくなるくらいです。また、母親の介護にも追われ、芸人仲間にはめられ仕事を失うと不幸が常に続く彼の姿は本当に辛い。けれど、役者たちの演技力や演出で憂鬱を同時に興味関心へつなげていく作りがすばらしいです。

②数々の嘘に振り回される = ジョーカーへの布石

 彼を取り巻く不幸は仕事面だけではありません。彼は後に知ることになります。母親からの嘘にずっと振り回されていたことに。彼の人生は初めから救われない運命だったことを描いています。彼自身も妄想という嘘に見舞われます。恋仲になった女性が登場し、序盤は安心するのですが、実はすべて彼の願望・妄想であったことが判明し、アーサーも視聴者も絶望に堕ちます。

 母親の嘘の中に後のバットマンとなるウェイン家が登場するところが演出的にうまい。

 周りと自身の嘘に苦しめられ、精神的に崩壊=ジョーカーとなっていきます。

③一線を越える = ジョーカー誕生

 追い詰められた彼にはもう、恐れる者はありません。いわゆる無敵の人と呼ばれる存在です。彼は職を失ったきっかけとなった銃をつかって、ウェイン社で働いているいわゆる勝ち組たちの命を奪ってしまいます。このシーンの恐ろしいところは、ジョーカーが誕生してしまったことと同時にどこかでスカッとしてしまう視聴者の反応です。

 ジョーカーに共感している視聴者ならこのシーンは残酷描写ではなく、スカッとするシーンとなります。これこそ本当の恐怖です。

 この映画はある種の危険性を感じさせる映画だと思います。

 その後も彼は、自分を陥れた人間たちの命を奪っていきます。ジョーカーの誕生です。

④この映画は経済格差をテーマにした作品

 この映画はとにかくみすぼらしいく描いています。それは貧困をテーマにしているからです。アーサーはジョーカーになった恐怖の男ではありません。経済的な格差が広がった結果彼のような人物がいずれ現れることを示した作品であると考えます。

 アーサーが特別だったのではないと。誰だってジョーカーになる可能性がある。この映画は社会的弱者の究極的な部分を描いたヒューマンドラマであると考えます。

 また、ジョーカーほどのカリスマでなくても彼を支持するものが大多数現れることもこの映画は示唆しています。そして、ジョーカーたち弱者たち

⑤ジョーカーの一番悲しいところ

 アーサーことジョーカーは決してコメディアンになれないこと。彼は皆を笑わせることが常に目標でしたが、彼は笑われるだけで、芸で人を笑顔にはできないことでした。これがジョーカーのもっとも悲しいところです。彼はジョーカーとなり、テレビ番組出演が決まりましたが、ネタを覚えておらず、滑りっぱなし。そして、そのやり場のない怒りを司会者の命を奪い、存在を示す。そう、彼はコメディアンではない。ジョーカーなのです。

 人を恐怖と絶望を与えることでしか向き合うことのできないジョーカー。最終的に自分が笑っていればそれでいいという感じでその場が終わってしまう。

 これが彼のエンターテイメント。狂気でしか存在価値を見出せない存在に彼はなるしかなかったのです。

 総括すると、この映画はジョーカーと言う最強悪を描いた作品ではありません。

 一人の社会的弱者が悪でしか社会と向き合うことができなかった悲しい話であると考察します。しかし、彼は同じ社会的弱者たちから崇拝され、歪んだ存在価値を見出されてしまう。社会的強者は彼を恐れ、弱者たちは彼を支持する。そういった最後で締めくくられています。

 これは社会的強者に対する強いメッセージを与えている映画です。いずれ、ジョーカーのような存在が現実世界で生まれるかもしれないという警告。

 狂気の世界なのにハッピーエンドのような感覚に襲われるこの映画。私はこの映画の鑑賞を強く勧めます。

 考えさせる映画であることに間違いありませんから。

 では、今日は失礼。ご視聴ありがとうございました。

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